| 史実に添った女王の生き様 ・・・ 70点(100点満点中) |
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原題:ELIZABETH: THE GOLDEN AGE 製作年:2007年 製作国:イギリス・フランス
監督:シェカール・カプール
ケイト・ブランシェット 【エリザベス1世】
ジェフリー・ラッシュ 【フランシス・ウォルシンガム卿】
クライヴ・オーウェン 【ウォルター・ローリー】
サマンサ・モートン 【メアリー・スチュワート】
アビー・コーニッシュ 【エリザベス・スロックモートン】
リス・エヴァンス 【ロバート・レストン】
ジョルディ・モリャ 【フェリペ2世】
トム・ホランダー
エディ・レッドメイン
アダム・ゴドリー
イングランド国王の娘に生まれながらも、私生児の烙印を押され、自らの運命を切り開き女王の座に就いたエリザベス1世の半生を描いた、シェカール・カプール監督、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」を同スタッフにより10年振りの続編として製作された。
弱冠25歳の若さでイングランドの女王に即位したエリザベス1世(ケイト・ブランシェット)。
女王の信念で王としての威厳を保っていたが、国内外でカトリックを信奉するもの達の謀略が渦巻いていた。
特にイングランドを手中に収めようとするスペイン国王フェリペ2世(ジョルディ・モリャ)や正統な王位継承を唱えるスコットランド女王メアリー・スチュワート(サマンサ・モートン)の脅威に悩まされる。
ある日、新世界から帰還したばかりの航海士ウォルター・ローリー(クライヴ・オーウェン)がエリザベスの目の前に現れ、やがて交流を重ねるうちに互いに惹かれ合い、エリザベスの心が揺らぎ始めるが…。女王の座に就いたエリザベス1世が国内外の問題に孤軍奮闘し、弱小国だったイングランドが無敵のスペイン艦隊を破るまでを描く、まさに
黄金時代を迎える輝かしい物語である。
史実では、アルマダ海戦においてスペイン艦隊を破った後に、イングランドが世界貿易を手中に収めることでも栄光の幕開けと想像し難くない。
処女王(ヴァージン・クイーン)と呼ばれたエリザベス1世にも、航海士ウォルター・ローリーとの情熱的なロマンスが描かれ、政治的な演出よりもどちらかと言えば
ロマンスを重点的に描いている事で前作とはまた違った趣向が楽しめる。
この時代の政略的な結婚の解釈は日本の戦国時代にもみられる様になかなか現代の感覚で図る事は難しいのだが、エリザベスも一人の女性として愛する事への幸せや葛藤を現代の価値観に近づけて描いているのは好感が持てた。
実際、エリザベスには複数の愛人がいたらしいが、年配のエリザベスが若き王子を子ども扱いする姿は面白い演出であった。
歴史人物を史実に添って描くには製作側のセンスが大きく左右するのだが、ウォルター・ローリーが水溜りにマントを引いたり、アメリカ新大陸のとある土地にエリザベスにちなんだ名を付けたり(現在のバージニア州)、肖像画に皺を描きこませなかったエリザベスが鏡に向かって皺を気にしたりと歴史背景に添ったいくつものエピソードが描かれているのには
作り手の意欲を感じることができる。
大女優の仲間入りとなった前作同様にケイト・ブランシェットが白塗り姿で女王を熱演しているが、ロマンスのエピソードには演技が光るが、配下に檄を飛ばし、白銀の甲冑を身に着けて指揮するには女王としての
貫禄や威厳は見るに耐えない。
白馬に跨り屈強な男達に指揮する場面では白馬が落ち着きなく右往左往して苦笑してしまう。
ケイト・ブランシェットに限らず、サマンサ・モートンにしても同じ事が言えており、狂乱する女王としか映らない。
しかし、処刑される場面では神々しささえ感じる清らかな演技が見事だ。
徹底的にエリザベスを中心に描いた結果が周囲のキャラクターの印象を極端に薄くしてしまっている原因でもあるのだが、エリザベス以外に
魅力的な人物がいないのも確かである。
徳川幕府時代の大奥のような煌びやかな衣装や豪華なセットも見所だが、実物大の船でCGと合成で撮影したアルマダ海戦が最大の見所である。
圧倒的優勢のスペイン無敵艦隊がどのように敗れるのか?また弱小国であるイングランドがどのようにして勝利を収めるのか?また楽しみの一つである。
しかしながら、細かな戦略などは一切描かれていないので、
銀河英雄伝説よろしく、ヤン・ウェンリー提督のような魔術的な戦術は期待してはいけない。
エリザベス1世の英知に長けた政略の数々と聖母ならぬ優しき人柄を事前に史実を熟知して鑑賞することをお勧めする。
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